## 序論
『[[エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする - グレッグ・マキューン 高橋璃子]]』は「限られた時間と資源を、最も本質的なことに集中させる」という実践書である。本書のアイデアを[[システムの因果関係の観察にはシステムアーキタイプ(システム原型)が有用である|システムアーキタイプ]]の枠組みで再整理し、論理の橋渡しを試みる。
## 本論
エッセンシャル思考がターゲットとしている問題の型を[[システムの因果関係の観察にはシステムアーキタイプ(システム原型)が有用である|システム原型]]の観点で整理すると、[[Limits to Growth (成長の限界)]]系の問題、特に[[Attractiveness Principle (魅力の原理)]]と[[Growth and Underinvestment (成長と投資不足)]]が中心になっていると思われる。すなわち、ポテンシャルでは成長の余地があるのにも関わらず「優先順位が付けられていないこと」と「選択と集中が不足していること」が問題の中心となっている。
本書で個人的に有意義だった点は、優先順位の問題へのアプローチとして「肩代わりしない」「捨てる」「拒否する」といった取捨選択の"捨"の部分に特に注目していることである。この取捨選択能力を磨くために、自分を成長させる必要があり、そのために「自分の時間」や「遊び」などが必要であると言うわけである。この点は自分が成長するための自己強化型ループの構築(「睡眠」「自分の時間」など)と、[[コンピテンシー・トラップとは何か|コンピテンシー・トラップ]]を回避するための「遊び」と言う二つの観点から整理できる。
とはいえ、エッセンシャル思考では解けない問題も多い。例えば、あなたが自己実現のために取捨選択した行動が、協働者の心象を悪くして[[Accidental Adversaries (偶発的な敵対関係)]]を形成する、というようなことは十分に考えられる。もちろん、この問題を回避するためにリソース投下することがエッセンシャル思考、ということになるかもしれないが...。
## 発展的結論
結論として、エッセンシャル思考は[[Limits to Growth (成長の限界)]]系の問題についてフレーミングした実践テクニック、というのが私の整理である。ただし、ここで紹介されている[[Noと言う技術]]などの各テクニックは、これらの問題へのアプローチとしてとても有意義である。