## 序論 [[線形時不変(LTI)システムとは何か|LTIシステム]]において、正弦波入力$u(t)=e^{j\omega t}$に対する出力が以下となることを示した。 $y(t)=A(\omega)e^{{j(\omega t + \theta(\omega)) }}$ ここでは、これを元にフーリエ変換・ラプラス変換を用いるとLTIシステムが周波数領域でどのように表現されるか示す。 ## 本論 $F(j\omega)=A(\omega)e^{j\theta(\omega)}$とすると、$y(t) = F(j\omega)e^{j\omega t}=F(j\omega)u(t)$と表現できる。 $F(j\omega)$は周波数に依存し、システムを一意に定める特性とみなせるから、周波数特性と呼ばれる。 ここで、[[フーリエ変換]]を考える。フーリエ変換/フーリエ逆変換の公式は以下である。 $ \begin{align} F(j\omega) &= \int_{-\infty}^{\infty}f(t)e^{-j\omega t}dt \\ f(t) &= \cfrac{1}{2\pi}\int_{-\infty}^{\infty}F(j\omega)e^{j\omega t}d\omega \end{align} $ まず $y(t)=f(u(t))$の入力に対してフーリエ変換を行うと、以下の通りである。 $ y(t) = f\left(\cfrac{1}{2\pi}\int_{-\infty}^{\infty}U(j\omega)e^{j\omega t}d\omega\right) $ LTIシステムの線形性より、これはさらに以下のように分解できる。 $ y(t) = \cfrac{1}{2\pi}\int_{-\infty}^{\infty}f(U(j\omega) e^{j\omega t})d\omega $ ここで、正弦波入力$U(j\omega)e^{j\omega t}$に対するLTIシステムの出力は、$f(U(j\omega) e^{j\omega t})=F(j\omega)U(j\omega)e^{j\omega t}$ が成り立つから、以下のように変形できる。 $ y(t)=\cfrac{1}{2\pi}\int_{-\infty}^{\infty} F(j\omega)U(j\omega)e^{j\omega t} d\omega $ これはフーリエ逆変換の公式そのままであるから、結局以下が示される。 $Y(j\omega)=F(j\omega)U(j\omega)$ フーリエ変換の成立する条件は限定的であるので、これをさらに複素数領域まで拡張したラプラス変換を考える。 $ U(s) = \int_{-\infty}^{\infty}u(s)e^{-st}dt$ これを用いて同様の議論を行うと、以下が導かれる。 $ Y(s) = F(s)U(s)$ このラプラス変換で得られた$F(s)$を伝達関数と呼ぶ。伝達関数もシステムの特性を示すものであるが、入出力の関係を単純な積の関係で表すことができる。[^1] ただし、ここではラプラス変換が収束することを前提としていることには留意する必要がある。 ## 発展的結論 さらに、[[伝達関数の時間領域での表現はインパルス応答である]]ことや、[[LTIシステムは伝達関数の積で表現することができる]]といった特徴は興味深い。またラプラス変換は、さらに[[ラプラス変換は信号表現と信号に対する演算子という二重性を持つ]]という点も興味深い。 [^1]: [[現代システム科学概論 - 木村英紀]]